【黄帝内経(こうていだいけい)】  柳川俊之 

中国最古の医学書とされ、成立は戦国~前漢期と推定されるが原著は散逸。

現在では唐代の王冰が編纂し、宋代に校正出版された『素問』および宋代に発見、刊行された『霊枢』がベースとして伝わっている。伝説上の帝王である黄帝が岐伯ら六名の学者と行った問答形式で構成され、『素問』では人体の生理・病理や養生法などについて記述されている。『霊枢』は古くは『鍼経』と呼ばれ、鍼灸を始めとする治療法や診断法など実践的な臨床医学について解説されている。

また、『史記』において黄帝が制定したとの記述がある陰陽五行思想が全体にわたり貫かれており、『傷寒論』と並んで現代の中国医学(中医)の源泉として扱われている。

なお、わが国では唐代の楊上善が注を施した『黄帝内経太素』の平安末期写本が江戸時代末期に京都の仁和寺で発見され、現在国宝として所蔵されているが、その内容は宋代の校注を経ておらず、より原典に近いといわれる。

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