【文心雕竜(ぶんしんちょうりゅう)】柳川俊之

文心雕竜は、六朝時代の文学家、劉勰(りゅうきょう)が表した文学理論書で、西暦501年ごろに成立した。全10巻、上下各25編の計50編からなり、中国の文学批評史上初めての、厳密に体系化された理論書と言われている。

上編は「原道」など全体の綱領を示した5編と、韻を踏んだ文章を対象とした「論文」、韻を踏まない「序筆」各ジャンルにおける各種文体のルーツや作家、作品について研究、評価した20編からなる。下編は「剖情析采」(思想や感情を探り、修辞を分析する)ことに重点を置いた創作論に関する記述20編、文学史論と批評鑑賞論4編、そして本書を著した動機などを記した1編で構成されている。

本書は時代の流れに伴う政治、社会の変化から各種文学の変遷を探究、作品を評価しており、文学史という概念を初めて打ち立てたものとして評価されている。また、体裁、修辞、伝統と変化、配置、引用の適切さ、韻律の美しさという、文学作品を全面的かつ公平に品定めするための標準を提起、当時としては画期的な文学批評の方法論を打ち立てたという意味でも非常に価値の高い作品である。

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