四月の声(1)

中日対照エッセイ

今回はコロナ禍の様子を伝える「四月の声」を3回に分けてお届けします。


“四月之声”(注1) 一

朝子

  2022年3月27日晚20点23分,关注微信公众号“上海发布”的上海人民都收到了这样一条推送:“3月28日5时起,我市以黄浦江为界分区分批实施核酸筛查。第一批,浦东、浦南及毗邻区域先行实施封控,开展核酸筛查,4月1日5时解封。同时,浦西地区重点区域继续实施封控管理。第二批,4月1日3时起,按照压茬推进的原则,对浦西地区实施封控,开展核酸筛查,4月5日3时解封。”
 
  话音刚落,无数的浦东市民闻讯蜂拥而出,直奔超市卖场。一时间超市里灯火通明,人头攒动,人声鼎沸,货架上的货物被抢购一空,所到之处,皆空空如也,只因离最后期限只剩几个小时了。而浦江对岸握着手机的浦西市民们,心里一边庆幸自己还有几天购置物资的时间,一边奔走相告,殊不知时代之轮已经开始缓缓倒转–他们中的大部分人,都不会想到,这一注定会被载入史册的,史无前例的“封城”,究竟意味着什么。

  在这个平常而又不平常的一个晚上,这一消息激起了千层浪。这一天的到来,意外而又在情理之中。自从本已被纳入改造升级计划的华亭宾馆被征为隔离酒店,而后又由于设施老旧而发生了疫情泄漏事故,在酝酿发酵了一段时间之后,终于爆发了。上海一直引以为豪的精准防控似乎在这次疫情之前失效了–上海曾将一间阳性感染者光顾过的奶茶店铺列为中风险地区并成功控制住疫情,它被称为“史上最小的中风险地区”。这样的做法让上海一时声名大噪,成为以最小的代价扑灭疫情,“瓷器店里捉老鼠”的模范。

  在此之前,已经停课停工,但新增病例数还是肉眼可见地不断攀升。新冠肺炎疫情防控新闻发布会上的那一句“上海现在没有封城,也不会封城”仍言犹在耳,突然宣布实施“鸳鸯锅”(注2)封控,市民们被打得措手不及。物资价格应声上涨,街头巷尾,各自的问候都是“你囤了吗?”还有些人对此不屑一顾,区区几天而已,何必要囤菜?事后证明这样的误判直接导致21世纪国际化大都市里的饥荒事件。

  我自然也不能免俗,作为家里的采购主力,我避开了菜市场,选择了日系百货公司楼下的生鲜柜台。平时上海的年轻人都会选择在阿里巴巴旗下的新零售产业“盒马鲜生”购置果蔬肉禽海鲜烘培,在APP上下单,30分钟之内送货到家,也可以到店购买。而此时,APP上显示的配送时间均为“配送运力不足”,提示门店的接单能力已经超负荷,无法再接受新的订单。我一点不担心,常买的肉禽品牌厂家不仅在盒马出售包装好的新鲜肉类,还在百货公司里开设专柜,挑选称重切洗一气呵成。由于价格昂贵,知道的人不多,等我到了柜台前,果然应有尽有。此时已经是3月30日的傍晚了,带着1000多元的购物小票和几大包食材回到家,塞满了冰箱,静静等待第二天的封控。母亲笑我,这些都够吃半个月的了,明明封城只有几天而已。我不置可否,既然冰箱放得下,多买一些慢慢吃也无妨。

注1:《四月之声》是一段视频,讲述了四月份封城期间人们的真实生活状况。后因为某些原因,在国内社交媒体上被删除,无法观看。为了表达对视频原作者的敬意,特取了同名作为标题。
注2:上海市以黄浦江为界,以东地区为浦东地区,以西为浦西地区。鸳鸯锅是一种火锅底料做法,两种不同口味的汤底被隔板隔开,被用来形容上海的划江封控措施。

「四月の声」(注1) 一

 2022年3月27日夜8時23分、微信(Wechat)の公式アカウント「上海発布」をフォローしている上海の人々は全員次のようなメッセージを受け取った。

 「3月28日5時から、上海市は黄浦江を境に二つに分けて一斉PCR検査を実施する。第一弾は、浦東、浦南および毘隣区を封鎖管理し、一斉PCR検査を実施、4月1日5時に封鎖を解除する。浦西地区の重点区域については封鎖を継続する。第二弾は、連続展開の方針に基づき、4月1日3時から浦西地区を封鎖管理し一斉PCR検査を実施、4月5日3時に封鎖を解除する」

 このニュースが伝わるや、浦東地区の住民は蜂の巣をつついたような騒ぎで市場やスーパーに殺到した。店は営業時間後もしばしこうこうと明かりが灯り、人の波と喧噪の中、商品は争うように買いつくされ、どの店も一瞬にして棚が空っぽとなった。なぜならロックダウン開始まであと数時間しかなかったのだから……。このとき黄浦江の対岸で携帯を見ていた浦西地区の住民たちは、心の中で自分たちは幸運にもまだあと数日間食料などを買い置きする時間があると思いつつ、互いに情報を知らせ合っていた。ただ、この時すでに社会を揺るがす大きな歯車がゆっくりと回り始めていたことに、ほとんどの人は気づく由もなかった。これこそまさしく、過去に例を見ない歴史的「ロックダウン」の始まりであったが、それが何を意味するのかさえ誰も知らなかった。

 日常的でもあり非日常的でもあったこの夜、情報は津波のようにあっという間に広がった。このような日が訪れたことに驚きはあったが、当局の対応は理にかなったものだった。もともとリニューアルを計画していた華亭賓館 は隔離ホテルに指定された後、老朽化した設備が原因で感染漏れを引き起こしたが、しばらくの間、適切な対策がとられず、結局一気に感染爆発を引き起こしてしまった。上海市当局はこれまでコロナ対策 に自信をもっていたが、今回の感染拡大ですべて無に帰してしまった。上海ではこの少し前に、一人の陽性者が立ち寄ったあるミルクティー屋を中リスク地域に指定して封鎖し、感染封じ込めに成功した経験があり、そのミルクティー屋は「史上最小の中リスク地域」として話題となった。このような対応策は上海の評判を高め、最も少ない犠牲でコロナを抑えこんだとして、「瀬戸物屋でネズミを捕まえた」模範的対応と称された。

 上海では少し前からすでに休校・休業の措置が取られていたが、新規感染者数は誰が見ても明らかに増加傾向にあった。新型コロナに関する記者会見での「上海はロックダウンしていないし、これからも(ロックダウンは)実施しない」という発言の舌の根も乾かぬうちに、当局は突然「鴛鴦火鍋」(注2)式ロックダウンを発表し、我々市民は全く手を打つ余裕もなかった。急に物の値段が上がり、街中では「もう物資は確保したか?」が挨拶代わりとなった。ただ、一部の人々は、どうせ数日間のことだから買い溜めする必要などない、とロックダウンに見向きもしなかった。後々、この誤った判断が21世紀の国際的大都市において飢餓事件を招く原因となったことが明らかとなる。

 どの家庭にも必ず買い物担当がいるものだが、私自身もそうだった。 私は市場での買い物を避けて、日系デパートの地下にあるスーパーの生鮮食品売り場を選んだ。一般に上海の若年層がよく利用していたのは、アリババグループが新たに進出した小売り業態の「盒馬鮮生」で、野菜や果物、肉・海鮮、加工食品など専用アプリで注文すれば30分以内には自宅まで届けられ、実店舗での買い物も可能である。しかし、今回の騒動が始まると、専用アプリで表示されるのはいつも「配達能力不足」というメッセージばかりで、当時すでに店の受注能力は限界を超えており、新規注文を受け付けられない状態になっていた。

 一方で私は少しも心配していなかった。いつも買うブランド肉は、盒馬で生肉パックとして売っている他、デパ地下にも専門コーナーがあり、その場で量り売りをしていた。こちらの方は価格が高く、知っている人も少ないので、私が行った時でもまだ品揃えは十分であった。この時すでに3月30日の夜で、私は1000元以上の買物レシートと大量の食材を抱えて帰宅し、冷蔵庫を満杯状態にして翌日からのロックダウンを静かに待った。私の母は、「あなた、半月ぶんは買い込んだわね。でもロックダウンはたった数日だよ」と私のことを笑った。私もどうなるか分からなかったが、冷蔵庫さえ一杯にしておけば仮に多すぎたとしても後からゆっくり消費すればいいと思っていた。

注1:「四月の声」という題名の動画が投稿され、その内容は4月ロックダウンの時の人々の実際の状況を語ったものだった。その後何らかの原因により中国内のSNS上で削除されてしまい、今では見ることができない。動画制作者への敬意を表してタイトルに使わせていただいた。
注2:上海市は黄浦江を境として東側を浦東地区、西側を浦西地区と呼んでいる。鴛鴦鍋は火鍋スープの調理法の一種であり、2種類の異なる味の鍋スープを仕切りで分けたもので、上海を二つに分けてロックダウンした時の様子を表すのに使われた。

(翻訳 ゴンチー所長)

(チェック 笠原寛史)

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