【詩経(しきょう)】 柳川俊之
四書五経の一つで、世界最古の詩集といわれている。その起源は西周の時代までさかのぼり、当時歌われていた民謡や宮廷の音楽などを集めたものである。膨大な作品から孔子が300余編にまとめたという話が『史記』の「孔子世家」に記されているが真偽は不明。
詩経は大きく三つの構成に分けられ、さまざまな地方の民謡をまとめた「風」(ふう)、宮廷の公事や宴会の席に用いられた歌曲の歌詞をまとめた「雅」(が)、祭祀を行うときに演奏された歌など歌詞をまとめた「頌」(しょう)がある。また、表現形式も三つ(賦・比・興)に大別され、これらを合わせて「六義」(りくぎ)という。
なお、現存のテキストは漢の毛亨が伝えたものであり、別名『毛詩』と呼ばれることもある。かつては儒教の経典として詩の解釈がなされてきたが、近年は、従来とは一線を画し、古代民衆の感情・叫びや風刺といった、詩本来の解釈を探る研究が進んでいる。